AC長野パルセイロ vs 藤枝MYFC:観戦レポート

信州の特に中信から流れてくる積雪情報に踊らされてガチガチの冬装備を身に纏ってみれば、篠ノ井には申し訳程度の積雪と澄み切った青空に迎えられた。長野市は中信より標高が低いからそこまで雪は降らないんだとか。「一昨日は雪降って大丈夫かなーと思ったけど晴れて良かった」と嬉しそうに話すのは売店のお姉さん。長野市は思った以上に雪とは無縁なんですね。あと、上田の焼き鳥は気に入りました。信州についてまた一つ学んだ一日。

白くコーディネートされた遠くの山々を背景に、高くなびくJFL旗。両脇にはAC長野パルセイロ藤枝MYFCの旗が元気に泳いでいた。AC長野パルセイロは2度目の、藤枝MYFCは初めてのJFL開幕戦。2012年3月11日13時、全国一斉にJFL開幕が告げられた。

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手探りの藤枝MYFC

試合前、メンバー表を手にして不思議に思ったのは藤枝MYFCの並び。4バックの前に守備的MFとしてDF4内田和志を配置していたのだ。言うなれば4-1-4-1のフォーメーション。ある程度守備的に出るのだと思っていたら、案の定、キックオフ直後からAC長野パルセイロのワンサイドゲームとなった。 AC長野パルセイロが攻めて、藤枝MYFCが跳ね返す。ただし、藤枝MYFCが後方に人数を割いているからといってキッチリ守れるわけではなかった。

その光景はまさしく優勝候補と新参チームの対決そのものだった。ボールに対するアプローチの早さで特にそれは顕著に現れ、局面でのわずかな差が圧倒的な違いとして積もっていた。藤枝MYFCAC長野パルセイロからボールを奪えず、人数が足りてないのも手伝って前線でボールキープすらさせてもらえない。斎藤監督は早々とDF23松田隆志を呼び、交代を前提にした綿密な指示を出す。そうしている間にAC長野パルセイロに襲われた。

攻め続けてもぎとった2得点

藤枝MYFCがバタバタとしているうちにAC長野パルセイロはきちんと得点を重ねる。前半11分、AC長野パルセイロは左コーナーキックを得ると、これを遠いサイドに送り込む。折り返されたボールは藤枝MYFCの守備陣と縺れながら最後はDF15寺田洋介が押し込んだ。
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前半16分、AC長野パルセイロはカウンターからFW17松尾昇悟が抜け出してタメを作り、最後はMF19向慎一が後方から追いついてボールをゴール左隅にぶち込んだ。
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藤枝MYFCが乗り切れないうちに試合の主導権を握っていたAC長野パルセイロがさっさと2点を奪った。勝負どころで2点を決めてしまうあたり優勝候補と呼ぶに相応しい勝負強さと言っていいだろう。

藤枝MYFCの遅すぎた修正

前半29分、劣勢の藤枝MYFCが早速選手交代を行う。FW21加藤潤に替えて前日に加入発表があったばかりのDF23松田隆志を投入した。この交代で藤枝MYFCはオーソドックスな4-4-2に変更する。右サイドハーフに入ったDF23松田隆志がある程度ボールをキープして攻撃の起点としての役割を果たすことになった。この変化によって藤枝MYFCは一気に安定を得ることになる。精度は悪かったが、右から左から次々とクロスが入るようになったのだ。後半にある程度の期待を残して45分を終えた。
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後半に入ると藤枝MYFCが攻め込む時間が増える。しかしボールを前に運べている一方でシュートはなかなか放てない。藤枝MYFCがボールを持つとすぐにAC長野パルセイロの選手が寄せてくる。JFL規格の早さに藤枝MYFCはなかなか適応できない。一歩引いて見てみれば、AC長野パルセイロ藤枝MYFCを手玉にとっている様にすら見えた。

変わらぬ長野の強さ・・簡単すぎた藤枝攻略

守るAC長野パルセイロにとってみれば実に単純な作業の繰り返しだ。相手のボールホルダーに2人でプレッシャーをかけ、奪ったら前線のオープンスペースへ放り込む。守備から攻撃にスムーズに転ずる単純作業からさらに2得点が生まれた。
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後半28分、AC長野パルセイロはカウンターからDF15寺田洋介が相手の最終ライン裏にボールを送り込むと、MF19向慎一がこれを受けて丁寧に押し込んだ。後半35分にはFW10宇野沢祐次が一人でゴール前まで持ち込んみ、シュートをGKに弾かれながらもしぶとく押し込んだ。
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私自身が南長野へ訪れたのは2年ぶりだったのだが、2年ぶりに訪れた南長野のピッチには全く同じ光景が広がっていた。立ち上がりから激しく攻めるAC長野パルセイロ。ボールを奪った瞬間から最短経路でボールをゴールへ運び続けるAC長野パルセイロAC長野パルセイロの試合自体も久方ぶりに観戦したのだが、あまりの印象の変わらなさっぷりに驚いた。試合は4-0でAC長野パルセイロが勝利。脈々と受け継がれているフットボールを武器に、最大の目標である初優勝へまずは幸先の良いスタートを切った。昨年の順位を元に私は彼らを優勝候補と呼んでいたが、彼らが優勝候補であるのは間違いなさそうだ。

最低からのスタート

藤枝MYFCは最終的にキープ力のあるFW9アランを投入して前線で攻撃の起点を作らせるなど変化はつけたが、全く及ばなかった。語彙力が足らなさすぎて「完敗」以外の言葉が思いつかない。優勝候補を相手に未完成なチームで臨んでしまったのがそもそもの間違いなのだろう。しかし一方でJFL昇格やJリーグ準加盟の準備などを少ない人手でこなしていたことを思うと、仕方が無い気はする。この試合はJFLの試合を肌で感じただけの経験値をよしと捉えるしかない。

藤枝MYFCのテーマはここから1年間でどれだけのものが積み上げられるか。今回は実戦の中で3つのスタイル「4-1-4-1」「4-4-2」「戦術アラン」を試せたのはこれから戦い方を磨き上げる上で重要な情報となるに違いない。最下位スタートとなってしまった。それでもサポーターは「あとは積み重ねて上り詰めるだけ」とポジティブに捉え「JFLは楽しい」と笑顔さえ見せた。サポーターにとってみれば静岡FC時代から9度目の挑戦で掴んだ夢の舞台。1日でも早く、彼らに勝利の笑顔が訪れることを祈る。
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